所見作成にかかる時間を減らす3つの工夫|学期末の残業を減らすには
所見の作成に時間がかかる一番の原因は、能力ではなく「学期末にまとめて記憶をたどって書こうとすること」という進め方そのものにあります。この記事では、①学期中に短い記録を貯めておく、②書く前に型を決めておく、③下書きと仕上げを2段階に分ける、という3つの工夫を紹介します。いずれも道具を変えなくても今日から始められる工夫です。
この記事の内容
所見の作成に、なぜ時間がかかるのか?
所見の作成に時間がかかる根本的な原因は、学期末という一番忙しい時期に、数か月分の児童の様子をゼロから記憶にたどって書き起こそうとすることにあります。書くこと自体よりも、「何を書けばいいか思い出す」作業に多くの時間が奪われています。
学期の前半に見た成長の場面は、学期末には薄れてしまっているのが普通です。1人あたり数分の「思い出す時間」でも、1クラス30人分になれば無視できない積み重ねになります。この構造的な原因に手を打たない限り、書くスピードだけを上げようとしても効果は限定的です。
工夫1:学期中に「10秒メモ」を貯めておく
時間を減らす工夫の中で最も効果が大きいのは、「学期末に思い出す」から「学期中に記録する」への切り替えです。帰りの会の後や休み時間に、見た場面を10秒程度の短いメモにして残しておけば、学期末はその記録を読み返して整理するだけの作業になります。
メモは長い文章である必要はありません。「3番、跳び箱5段跳べた」「7番、図形問題を友達に説明していた」のような一言で十分です。センセイメモは、この学期中10秒のメモをLINEで送るだけで蓄積できるように作られたツールです。メモの形式や記録手段は問わず、手帳やメモアプリでも同じ効果が期待できます。
工夫2:書く前に「型」を決めておく
白紙の状態から言葉を探し始めると、1人分の所見に何十分もかかってしまいがちです。事前に文章の「型」を決めておけば、あとは型に材料を当てはめるだけで済み、迷う時間が大きく減ります。
基本の型は、①具体的な場面(事実)→②そこで見られた変化や成長→③今後への期待、という3部構成です。この型の詳しい考え方は、ピラー記事「通知表所見の書き方 完全ガイド」の該当セクションでも解説しています。型を先に決めておくことで、学期末に毎回「どう書き出すか」を考え直す必要がなくなります。
工夫3:全員分を「下書き→仕上げ」の2段階に分ける
1人ずつ最初から完成させようとすると、児童ごとに集中を切り替えるコストがかさみます。時間を減らすには、まず全員分の下書き(材料の並べ替え程度でよい)を先に作ってしまい、そのあとでまとめて言葉を整える仕上げ作業に移る、という2段階に分けるやり方が効率的です。
下書きの段階では完璧さを求めないことがポイントです。粗い下書きが並んでいる状態から仕上げに入ったほうが、白紙から1人ずつ完成させるより、全体としての作業時間は短くなりやすいという実感を持つ先生は少なくありません(個人差はあります)。センセイメモも、観察メモから通知表所見・指導要録・面談メモの下書きを作成する設計であり、完成させる作業は先生の手元に残ります。詳しくは機能紹介をご覧ください。
学期末の長時間勤務は、どの程度深刻なのか?
結論として、教員の在校等時間は依然として長く、学期末はそこに成績処理や所見作成といった時期特有の業務が重なりやすい時期です。文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)の集計(確定値)について」(2024年4月4日公表)によると、小学校の「教諭」の平日1日あたりの在校等時間は10時間45分でした(同資料 p.10、p.16)。前回の平成28年度調査では11時間15分で、原文は次のように記しています。
平日の在校等時間について、職種別に平成28年度と比較すると、小学校・中学校共に全ての職種で在校等時間が減少している。「教諭」は、小学校・中学校共に30分程度減少している。
出典:文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)の集計(確定値)について」(2024年4月4日公表)p.10。原文PDF
30分の減少はあったものの、1日10時間45分という水準は変わらず長時間です。さらに同資料では、これとは別に自宅などへの持ち帰り時間が平日1日あたり37分あり、在校等時間との合計は11時間23分と示されています(p.16)。
なお、この調査が対象としているのは在校等時間(学校にいた時間全体)であり、所見作成だけにかかる時間を切り出して示したものではありません。学期末は通常の授業・学級運営に加えて成績処理や所見作成が重なりやすい時期であるため、ただでさえ長い在校等時間がさらに伸びやすいと考えられますが、この点は調査そのものが直接示した結論ではなく、業務の性質から推測される傾向として捉えてください。
まとめ:所見の時間を減らすチェックリスト
- 時間がかかる根本原因は「学期末にまとめて思い出そうとすること」にある
- 工夫1:学期中に10秒程度の短いメモを貯めておき、思い出す作業をなくす
- 工夫2:①事実→②変化・成長→③期待、の型を先に決めておき、書き出しで迷わない
- 工夫3:1人ずつ完成させず、全員分の下書きを先に並べてからまとめて仕上げる
- 教員の在校時間は依然として長く(小学校教諭で平日平均10時間45分、文部科学省調査)、学期末はそこに所見作成が重なりやすい時期である