指導要録の書き方は、通知表所見と何が違うのか
指導要録は、学校教育法施行規則に基づいて校長が作成を義務づけられている法定の表簿(公簿)であり、保護者に渡す通知表とは別の書類です。指導要録のうち学籍に関する記録は20年間、指導に関する記録は5年間の保存が定められています(学校教育法施行規則第28条第2項)。様式・記載要領は設置者(教育委員会等)が定めるため学校ごとに異なる点も多く、この記事は文部科学省が示す参考様式・通知に基づく一般的な考え方を整理するものです。
この記事の内容
指導要録とは何か、なぜ作成が必要なのか?
指導要録とは、学校教育法施行規則第24条に基づき、校長がその学校に在学する児童等について作成を義務づけられている、学籍と指導の過程・結果を記録する公簿(表簿)です。児童が進学・転学する際には、指導要録の抄本や写しを進学先・転学先の学校に送付することも同条で定められています。つまり指導要録は、その学年・学校だけで完結する書類ではなく、次の学年や学校へ引き継ぐための公的な記録という性質を持ちます。
指導要録の保存期間はどれくらいか?
結論として、指導要録のうち入学・卒業等の学籍に関する記録は20年間、それ以外の指導に関する記録(各教科の学習の記録・行動の記録・総合所見等)は5年間保存することが、学校教育法施行規則第28条第2項に定められています。
| 記録の区分 | 保存期間 | 根拠 |
|---|---|---|
| 学籍に関する記録(入学・卒業等) | 20年間 | 学校教育法施行規則第28条第2項 |
| 指導に関する記録(学習の記録・行動の記録・総合所見等) | 5年間 | 同上 |
根拠となる条文は次のとおりです。
前項の表簿(第二十四条第二項の抄本又は写しを除く。)は、別に定めるもののほか、五年間保存しなければならない。ただし、指導要録及びその写しのうち入学、卒業等の学籍に関する記録については、その保存期間は、二十年間とする。
出典:学校教育法施行規則 第28条第2項(e-Gov法令検索)
条文の立て付けとしては「表簿は5年間保存」が原則で、指導要録のうち学籍に関する記録だけが例外的に20年間と定められている、という構造です。なお作成義務については第24条第1項が「校長は、その学校に在学する児童等の指導要録……を作成しなければならない」と定めており、作成の名義人は担任ではなく校長である点も、通知表との性格の違いを示しています。
保存の方法(紙かデータか)や、電子化して保存する際の具体的な運用は、学校・自治体によって異なります。実際の取り扱いは勤務校の文書管理規程と管理職の指示に従ってください。
指導要録と通知表所見は何が違うのか?
結論として、指導要録は法令に基づく公簿、通知表は各学校が保護者向けに独自の判断で作成する書類という点が最も大きな違いです。同じ観察記録をもとにしていても、位置づけ・保存義務・主な読み手が異なります。
| 指導要録 | 通知表所見 | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 学校教育法施行規則に基づく法定の表簿(公簿) | 各学校が独自に作成する書類(法定の様式はない) |
| 保存義務 | 学籍20年間・指導5年間(施行規則第28条第2項) | 法令上の一律の保存義務の定めはなく、学校の文書管理規程による |
| 様式 | 文部科学省が参考様式を示し、設置者が最終決定 | 学校ごとに自由度が高い |
| 主な読み手 | 進学・転学先の学校、教育委員会等 | 保護者 |
この違いから、同じ児童の同じ学期についての記述でも、指導要録には引き継ぎとして重要な事実を客観的に、通知表所見には保護者に伝わる言葉で、という書き分けが必要になります。具体的な様式・記載項目は学校・自治体により異なるため、詳細は勤務校の要録作成要領をご確認ください。
指導要録には何を書くのか?
結論として、指導要録は大きく「学籍に関する記録」と「指導に関する記録」の2つで構成され、後者に各教科の学習の記録・行動の記録・総合所見及び指導上参考となる諸事項などが含まれます(文部科学省「指導要録(参考様式)」)。学籍に関する記録には、児童の氏名・生年月日・入学や転学の年月日といった学籍にまつわる事実が記載されます。
総合所見及び指導上参考となる諸事項とは?
結論として、指導要録の「総合所見及び指導上参考となる諸事項」欄は、各教科・行動の記録・特別活動などを横断して、児童の成長を総括的に記述する欄です。通知表所見と重なる内容も多いものの、記載の目的が「次の担任・学校への引き継ぎ」である点が、保護者への説明を目的とする通知表所見と異なります。この欄の考え方は、文部科学省初等中等教育局長「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」(30文科初第1845号、平成31年3月29日、文部科学省公式ページ)で示されています。
指導要録を書くときの基本的な考え方は?
結論として、指導要録は次の学年・学校へ引き継ぐための記録という性質上、通知表以上に客観的な事実に基づく記述が求められます。断定的な決めつけを避け、具体的な場面に基づいて書くという基本は通知表所見と共通しますが、通知表よりも簡潔で事務的な文体が求められる学校が多い傾向にあります。
ただし、指導要録の記載方法の細部(文字数、記載してよい内容の範囲、記載を避けるべき表現など)は、設置者・学校の要録作成要領によって具体的に定められています。本記事はあくまで一般的な考え方の整理であり、個別の記載可否についての判断は、必ず学年主任・管理職の指示に従ってください。
通知表所見・指導要録・面談資料を、1つの観察記録から書き分けるには?
結論として、学期中に記録した同じ観察メモでも、書類ごとに読み手と目的が違うため、文字数・表現の硬さ・触れる内容を変えて書き分けることになります。同じ文章をそのまま3つの書類に使い回すのではなく、着眼点は共有しつつ表現を調整するのが実務上のコツです。
| 書類 | 主な読み手 | 表現の傾向 |
|---|---|---|
| 通知表所見 | 保護者 | 親しみやすい言葉で、成長が伝わる書き方 |
| 指導要録(総合所見) | 次年度の担任・進学先の学校 | 客観的・簡潔で、引き継ぎに必要な事実中心 |
| 面談資料 | 保護者(対面での会話用) | 箇条書き中心で、会話の材料になる具体例 |
センセイメモは、1つの観察記録から通知表所見・指導要録・面談メモの3種類の下書きを作成する機能を備えています。詳しくは機能紹介をご覧ください。
センセイメモはこの書き分けにどう対応しているか?
結論として、センセイメモは学期中に蓄積した観察メモから、通知表所見(デフォルト200字)・指導要録・面談メモという3パターンの下書きを生成する機能を用意しています。同じ観察記録が元になっていても、書類ごとに文字数や文体を変えた下書きを並べて確認できるため、先生がゼロから書き分けを考える負担を減らすことを目的にしています。
ただし、下書きはあくまでたたき台です。指導要録への最終的な記載は、学校の要録作成要領・様式に沿っているか、記載してよい内容の範囲を超えていないかを、先生自身が確認・編集する必要があります。AIが指導要録を代筆する設計にはしていません。
まとめ
- 指導要録は学校教育法施行規則第24条に基づく法定の表簿で、保護者向けの通知表とは別の書類
- 学籍に関する記録は20年間、指導に関する記録は5年間の保存が定められている(学校教育法施行規則第28条第2項)
- 様式・記載要領は設置者(教育委員会等)が定めるため、詳細は勤務校の要録作成要領で確認する
- 指導要録・通知表所見・面談資料は、同じ観察記録でも読み手と目的に応じて表現を書き分ける
- 指導要録の記載方法に迷ったときは、必ず学年主任・管理職の指示に従う